認知症の家族の資産を凍結リスクから守るには!?

凍結資産のイメージ

「認知症患者、金融資産200兆円に マネー凍結リスク 」という記事が、日本経済新聞 電子版に掲載されました。
もしあなたの親御さんに認知症の予兆があったとして、日々のケアや生活が目まぐるしく、親御さんの資産にまでは気が回らないのではないでしょうか。
私自身もこちらの記事で、先々のことを考るきっかけになりました。皆様にも共有したいと思います。

認知症の親の預金は家族でも引き出せない!?

記事で紹介されていた事例はこうです。

「やはり引き出しは難しいですか」。
今春、東京都内の信用金庫で50代の男性会社員は困惑していた。80代の父親は認知症と診断され、老人ホームに入居している。男性は父の入院治療費を支払うため、父名義の口座から約60万円を引き出そうと相談に訪れていた。
「ご本人の意思確認ができない状況では支払いに応じられません」。信金の担当者はこう伝えた。金融機関の立場では家族による横領を防ぐための当然の対応だが、本人のためでもお金が使えず、預金が凍結状態になるケースが目立ってきている。

(日本経済新聞 電子版より転載)

認知症患者が保有する金融資産増加の図

日本経済新聞 電子版より

「ご本人の意思確認ができない状況では支払いに応じられません」と言われても、本人のために使用するのでもお金が引き出せないというのは、知識のない家族側からすると納得のいくものではありません。
この事例のように、判断能力が認められない認知症の親の預金を家族が引き出せず、預金が凍結状態になるケースが目立ってきているとのことです。
認知症の家族を持つ場合、事前に対策をとっておかないと困る場面が必ずくるということがわかります。

対策の一つ、成年後見制度

成年後見制度は、認知症などで判断能力が不十分で意思決定が困難な人を保護、支援するための制度で、2000年から開始されました。

後見人の業務には、「財産管理」や要介護の申請や居住環境の整備など、利用者が適切な環境で生活できるようにする「身上保護」などがあります。成年後見制度には、本人に判断能力があるうちに後見人を選んでおく「任意後見制度」と、すでに認知症など本人の判断能力が衰えた利用する「法廷後見制度」があります。

認知症になると難しくなることの一つが財産の管理です。高齢者が詐欺のターゲットにされて被害にあうトラブルが後を絶ちません。万が一、認知症の方が詐欺にあってしまった場合も、後見人はその契約を取り消すなどの行為ができるため認知症の本人が被害に遭うのを防ぐ事ができます。

メリットのある制度ですが問題点もあるようです。

法定後見と任意後見の二つの種類があるの図

週刊朝日ムック
『すべてがわかる認知症2016』より

成年後見制度の問題点

ただ、現時点の制度利用は約21万人と認知症高齢者の5%にも満たないのだと、記事にあります。
後見人による不正利用を懸念していたり、後見人になる親族が近くにいなかったり、かといって弁護士など専門職を後見人にすると、最低で月2万〜3万円の報酬を払い続けなければならないので(認知症の当人が亡くなるまで後見は続くため)、収入や資産が少ない高齢者には負担が大きい、というのが理由だそうです。
そういった理由から、ボランティアの市民後見人を増やす必要があるものの、家庭裁判所への報告などに加え、借金返済や家賃滞納への対応など想定外の仕事もふりかかることがあるようで、負担が軽くないために、市民後見人のなり手は少ないそうです。

成年後見制度の改善案

成年後見制度の問題点をうけて、全国銀行協会や法務省、金融庁などは協議し、後見人による不正を防ぎつつ、今よりも使い勝手が良い預貯金サービスの仕組みを打ち出したとのことです。
高齢者の銀行口座を資産用と生活資金用に分けて、資産用口座の解約や入出金は金融機関や家裁などが厳しくチェックします。一方、後見人による生活口座からの引き出しは今よりも自由度を高めて、インターネットバンキングも認めます。
金融機関でこうしたサービスの導入が広がれば、市民後見人の普及に寄与する可能性がある、と期待が込められています。

預貯金モデルの改善案の図

日本経済新聞 電子版より転載

まとめ

自分のことに置き換えてみて思うのは、終活などをして老後を迎える準備が万端であったとしても、認知症になってしまったら?
施設を探したり、入居の手続きや入院治療費の支払いを誰が代行してくれるのでしょうか。
周りに迷惑をかけたくない、との思いで終活するのだと思います。
自分に判断能力があるうちに後見人を選んでおく「任意後見制度」。
こういったことも含めての終活が認知されていけばいいなと思いました。

終活のイメージ