「血管性認知症」もPETとMRIで診断ができます

血管性認知症のイメージ

認知症の中でも、血管性認知症は予防することができる認知症です。
今回は、血管性認知症の事例をご紹介します。
こちらの記事は、認知症医師・病院の真実でもご紹介した、佐藤先生の著書から抜粋したものです。

佐藤洋子さん(初診時74歳・女性 / 仮名)の場合

佐藤洋子さんは、少し前にご主人を亡くし、娘さん夫婦と一緒に暮らしていました。娘さんが会社勤めをしていることもあって、ウィークデーは家事のほとんどをこなし、地域の活動などにも積極的に参加していたといいます。

そんな佐藤さんの様子がおかしいと、ご家族が気づいたのは1か月ほど前でした。

付き添ってきた娘さんは、
「何でもきちんとやらないと気がすまない性格でしたのに、ある日、ごみの分別をしていなくて、あれっ? と思ったんですね。そしたら今度はごみを出す曜日を間違えたり、好きだった料理もつくらなくなって……」

と訴えられました。

普通に、話している内容は理解できているし、判断力もあるようなのですが、もの忘れが極端に激しくなり、急にふさぎ込んだり、ちょっとしたことで泣いたり、怒ったりすることが目立つようになったそうです。

ご本人も病識があり、「私、ボケちゃったのかしら」と、かなり不安だったようです。

ご家族は、アルツハイマー病やノイローゼ(神経症)の可能性を疑いました。そして、詳しい検査をするために、宇都宮セントラルクリニックを受診されたのでした。

佐藤さんには、さっそくMRI検査とPET検査を受けていただきました。
その結果、MRI画像では、小さい梗塞巣が多発しているのが確認され、同時に血液が流れず、 脳が変化した部分(虚血性変化)があることも認められました。

一方、FDG-PET画像では、両側前頭葉および左側頭葉に、軽度のFDG薬剤の取り込みの低下が認められました。

つまり、佐藤さんの脳の状態は、アルツハイマー型認知症の典型例とは異なり、診断は血管性認知症でした。

血管性認知症は、それ自体を治療する薬はありませんが、脳血管障害の治療をすることが改善に結びつきます。有用なのは、脳血流改善薬や脳血管拡張薬、脳代謝賦活薬などで、これらの薬剤は1種類ずつ、効果を評価しながら使用します。

佐藤さんの場合は、血圧が高めだということでしたが、そうした脳血管障害の危険因子をコントロールすることも大事です。

 
 

血管性認知症とは

脳血管障害イメージ

血管性認知症は、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳血管障害を起こした後の後遺症として発症します。
割合としては男性に多い認知症ですが、女性は閉経後に血清コレステロール濃度が急激に上昇することから脳血管系疾患をもたらし、認知症の原因になることもありま す。
血管性認知症の特徴としては、「まだら認知症」になりやすいことがあげられます。
まだら認知症というのは、同じことでも「できるとき」と「できないとき」が起こる症状ですが、これは脳内の障害された場所によって血流の悪くなる箇所が異なり、さらにその時によって状態が変わるために生じると考えられます。1日の中でも、例えば意欲がなボーッとしていて、何もできないときと、はっきりしていて、できないと思っていたことができる場合があります。
また、血管性認知症では、感情のコントロールができず、すぐにに泣いたり怒ったりする、あるいはうつ傾向になって、能面のような表情になることもあります。さらに、洋服の前後や上下左右の認識ができない、なかなか言葉がでてこなくなるといった症状もあらわれます。

まとめ:日々の生活を見直すことで血管性認知症は予防できる

健康のイメージ

血管性認知症は、簡単に言うと、脳血管疾患の後遺症です。高血圧や糖尿病など、生活習慣病がほとんどの原因だといえます。
「認知症と糖尿病の関係」でもふれましたが、糖尿病は脳の動脈硬化を促進させます。動脈硬化が進めば脳梗塞の発症リスクが高くなり、血管性認知症にもなりやすくなるのです。

日々の生活を見直すことは、生活習慣病だけでなく認知症の予防にもつながります。
塩分や脂肪分を控えた食事や適度な運動など、できることからはじめてみませんか。