認知症と糖尿病の関係

糖尿病と認知症の関係

現在、全国で認知症患者は約462万人、糖尿病の患者は約950万人います。
糖尿病の人は認知症になり易く、さらに認知症になる事で糖尿病が悪化し易くなるという事がわかってきているそうです。

アルツハイマー型認知症と糖尿病の関係とは

インスリン注射

近年、アルツハイマー型認知症とインスリンの関係が解明されてきたそうです。血糖値が高くなっていると、脳内でインスリンの働きが悪くなるとともに、アミロイドβが増えやすくなると考えられています。

脳内の神経細胞が活動するには、エネルギー源である糖が必要で、脳神経細胞は糖を取り込まなければなりません。その際にインスリンが働きます。脳内にはインスリン分解酵素が存在し、アルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβを分解します。

通常は、インスリン分解酵素が働き、アミロイドβを分解して、アルツハイマー型認知症にかかりにくい状態に働いてくれています。

ところが、糖尿病の患者はインスリン分解酵素が少なくなっていくので、アルツハイマー型認知症の原因物質を分解する力が弱くなってしまいます。そしてアルツハイマー型認知症になるリスクが高まってしまうそうです。

さらに、もう一つの原因があります。糖尿病の人がアルツハイマー型認知症に掛かりやすいのは、糖尿病は脳の動脈硬化を促進するからだそうです。動脈硬化が進めば脳梗塞の発症リスクが高くなり、血管性認知症にもなりやすくなります。

また、食後の血糖値が高くなる「食後高血糖」が続くと、酸化ストレスや炎症、糖を燃やした時にできる有害物である「終末糖化産物」などが、脳の神経細胞にダメージを与えることも分かってきました。

米国のジョージタウン大学の研究チームが、脳における糖の取り込みを長年にわたり調べ、どのように変化するかを明らかにしています。アルツハイマー型認知症のない人では、年齢が進んでも糖の取り込みはあまり変化していませんが、アルツハイマー型認知症のある人では、発症する10年ほど前から糖の取り込みが明らかに下がっていることが分かっています。

九州大学医学部の久山町研究テーマの一つである認知症関連では、糖尿病は主にアルツハイマー型認知症の有意な危険因子であると記されています。

糖尿病の人が認知症になるのを防ぐには

まず必要なことは血糖コントロールを改善することです。

米国で行われた臨床試験では、値の上昇とともに認知機能、なかでも前頭葉機能が低下することが示されました。

研究では、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が7.0%未満を目標にコントロールすることが、認知機能を良好に保つために必要であることが判明しています。

血糖コントロールを改善するための治療の基本は、食事と運動です。必要に応じて投薬を行い、血糖値が正常域内になるようにコントロールします。

一方で、投薬治療を行うと、血糖値が下がりすぎる「低血糖」が起こるリスクもあり、重症の低血糖は脳の神経細胞にダメージを与え、重症低血糖の経験のある人はない人に比べて、認知症の発症リスクが約2倍になるという報告があります。高血糖とともに低血糖も避けなければなりません。

最近の経口薬には、食後高血糖や血糖の日内変動を抑えて、低血糖のリスクがない薬が出てきています。インスリンにも低血糖を起こしにくいタイプの薬剤が出ているそうなので、そうした薬を上手に使い、血糖コントロールを改善すると効果的です。

糖尿病予防は認知症予防にもなる

ウォーキング

糖尿病は、脳が正常に働くために必要な栄養素である(ブドウ)糖を代謝できない病気です。その結果、脳内に十分な栄養がまわら無いために認知症になる可能性が高まります。

認知症になる可能性を低くするために、予防として出来ることを行いましょう!

食生活の改善
たまねぎや納豆などの血液をサラサラにする効果のある食品を食べましょう。また、脂肪分や糖分の多い食品は、血液をドロドロにするのでなるべく控えましょう。
定期的な運動
最低でも1週間の内3日は、運動をしましょう。軽いジョギングやウォーキングなど、簡単に始められることから実施するのが良いと思います。
継続することが大切です。

糖尿病の方は、発症している期間の長さと今後認知症になる可能性は比例するそうです。
「今はまだ糖尿病予備軍の方(血糖値が高めの方)や糖尿病の家系の方は、意識して予防に取り組みましょう。

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