リコード法

認知症を予防・抑制する食品

2018年5月5日(土)に日本テレビ「世界一受けたい授業」にもご出演されたデール・ブレデセン医師が「リコード法」と呼ばれる新しい治療法を確立しました。
早期に「リコード法」を実施すれば認知症が完全に回復することもあると、驚きの効果があるようです。

リコード法の基本的な考え方

リコード法の基本的な考え方

アルツハイマー型認知症の原因因子は複合的で単一の薬ではカバー出来ません。さらに一人一人に合った対応をする必要があります。
リコード法を提唱するブレデセン医師は、以下の5項目に全ての原因が集約されるとしています。

  • インスリン抵抗性
  • 炎症/感染症
  • ホルモン、栄養素、栄養因子の最適化
  • (化学的、生物的、生理的)毒素
  • 喪失した(または機能障害が起きている)シナプスの再生と保護

認知症の現状でも記載した通り、アルツハイマー型認知症の原因は脳に蓄積されたアミロイドβによって引き起こされるというアミロイド仮説では、国内の認可薬では症状を緩和させることはあっても、病気の進行を抑制させたり回復させる事はできません

さらに、アミロイドβは単なる悪者ではなく、脳の防御反応による「脳細胞を守る兵隊」であったことも分かってきたそうです。

ところが、アミロイドβが蓄積され続けるという脳への脅威が払拭されないままだと、アミロイドβが過剰になってしまって最終的に守るべき脳細胞を壊してしまいます。裏を返すと、アミロイドβが溜まる原因(脳の脅威)を取り除いていけば、アルツハイマー型認知症を改善し、病気にかかるリスクも低減できるということです。それがリコード法の基本的な考え方です。

認知機能を回復させる最新治療法

認知機能を回復させる最新治療法

ブレデセン医師は2017年8月に、リコード法についてまとめた書籍『アルツハイマー病・真実と終焉』をアメリカで発売し、ニューヨーク・タイムズやウォールストリート・ジャーナルにも紹介されています。

リコード法を実施すれば、認知機能が回復し、早期治療であれば完全に回復することもあるという事です。

その治療方法は、

  • 生活習慣の指導(食事、運動、睡眠)
  • 脳の栄養不足を補う補助食品
  • 脳トレーニング
  • ストレス対策

など、36項目にわたります。

脳の屋根に36個の穴が開いた状態が、アルツハイマー病の状態であると、ブレデセン医師は表現されています。  
その穴を一つづつふさぐことで認知症を改善できるという考え方です。

アルツハイマー型認知症の36の原因
アルツハイマー型認知症の36個の穴

ただし、36項目を全て実施する訳ではありません。人によって空いている穴の数も大きさも違うので、その穴を塞ぐには一人一人に合わせたオーダーメードのメニューが必要になってきます。リコード法での認知症の改善には、一人一人その項目や実施数は異なるということです。

リコード法を実施するには、現状を把握するため、臨床検査(認知機能検査)をすることが重要と述べています。
認知機能が低下している原因を確かめるために

  • 脳のMRIとCBC(末梢血液全項)
  • 生化学検査(臓器などの障害を測る血液検査)
  • 甲状腺
  • B12血液検査

上記は、米国のゴールドスタンダードとされる検査ですが、ブレデセン医師によると以下が不足していると指摘しています。

  • 遺伝的特徴
  • 炎症
  • 感染症
  • ホモシステイン値
  • 空腹時インスリン値
  • ホルモン状態
  • 毒物暴露
  • 免疫システム
  • マイクロバイオーム(微生物叢)
  • 血液脳関門
  • BMI(肥満指数)
  • 糖尿病前症
  • 脳容積測定
  • 標的治療

アルツハイマー型認知症と診断される15年も前から病状はすでに進行していて、40代から発症に向かうことが多いそうです。
認知機能の低下を自覚している段階なら、リコード法を実施する事で全ての人が回復しています。
しかし、症状が進んでしまうと、その回復は低下していきます
ブレデセン医師は認知機能検査の結果で、最適値に達していない項目があれば、今すぐリコード法を実施することを進めています。

自覚症状がない人も今からリコード法を実施すれば、アルツハイマー型認知症の予防が可能という事です。

デール・ブレデセン医師の経歴

デール・ブレデセン医師は、アルツハイマー型認知症などの神経変性疾患の世界的権威です。
カリフォルニア工科大学を卒業後、デューク大学メディカルセンターでMDを取得。カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)で神経学のチーフ・レジデントを務めた後、ノーベル賞受賞者のスタンリー・B・プルシナー博士に師事し、プリオンとアルツハイマー型認知症の関連性について多くの研究を行っています。UCSF、UCLA、カリフォルニア大学サンディエゴ校で教職を歴任。バーナム研究所にて高齢化プログラムを指導後、1998年、加齢専門研究所であるBuckInstituteの創業時社長兼最高責任者(CEO)に迎えられています。現在は、数百人の医師に「リコード法」の教育・普及を行うMPI Cognitionを創立し、最高医療責任者を務められています。

デール・ブレデセン医師

10ヶ月間のリコード法による臨床結果

10ヶ月間のリコード法による臨床結果の表

こちらはと毒性の24項目に異常があった患者が、リコード法の10ヶ月でどれくらい変わったのかの表です。

認知機能が改善しただけでなく、この患者のMRIでも、明らかな改善が認められたそうです。これは、最適値に達していなくても、代謝の改善が起こっているという事です。

この患者の検査データでは、

  • 空腹時インスリンは32から8に低下したのに対し、最適値は4.5以下である。
  • 炎症の主要な指標である、高感度CRP値は9.9から3へと低下したが、最適値は1.0未満である。
  • ホモシステインは15から8に落ちたのに対し、7未満が目標値である。

目標値になっていなくても、代謝的に正しい方向に向かっていれば、認知力的にも正しい方向に向かうということがわかります。

コメント

リコード法でも、ホモシステイン値が高い事はアルツハイマー型認知症の重大な要因であると記載されていて、抗ホモシステイン酸に着目した長谷川教授と同じ視点であることに驚きました。

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