認知症の未来

目指せ、健康体

みなさん、健康という言葉から何を思い浮かべますか?また健康のために実践していることは何かありますか?健康のために重要な事を考えてみると、食事、運動、睡眠、ノンストレス等たくさん思い浮かびますね。また、みなさん一人ひとりの健康に対する考え方も違ってくると思います。私たちの日々の生活は様々な活動の組み合わせで構成されています。例えば、皆さんの朝の日課を思い浮かべてみてください。朝起床し、朝食を作り摂取、その後、後片付けや身支度をする。これらの一連の動作で共通して必要になるのはエネルギーではないでしょうか。そこで健康のためにどのような食事内容で栄養を摂取することが重要なのか、推奨されていることを探っていきましょう。

我が国の食事ガイドライン

日本では健康な方に向けた食生活方針、食事ガイドラインが策定されています。平成12年には文部省、厚生労働省や農林水産省が連携し食生活方針が、平成17年には食生活指針を具体的に行動に結びつけるものとして食事ガイドラインが策定されました。

食事ガイドライン

皆さんもこのコマのイラストを学校の授業やメディアで1度は目にしたことがあるのではないでしょうか?食事バランスガイドでは日々の食事を主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の5つに区分、また運動や嗜好品もイラスト内に含まれています。厚生労働省ホームページにはわかりやすく計算方法の案内も記載されています。

地中海性食とは

世界各国にも課題に合った食事ガイドラインが策定されていますが、数年前より全国的に地中海式食事法が注目されています。きっかけは医療が未発な地でありながらも生活習慣病が少ないためと言われています。地中海とはヨーロッパ大陸とアフリカ大陸の中間に位置し、ポルトガル、スペイン、フランス、レバノン、トルコ、イタリア、モロッコ等の国から構成されています。また地中海性気候といい、この気候が健康を強く取り持っていると考えます。夏には高温・乾燥気候のため耐乾性樹木作物のオリーブ、ブドウ、柑橘類、小麦などの生産地として大変有名です。それでは実際に地中海食の具体例をみていきましょう。

  • 油脂類はオリーブオイルを中心に使用
  • 食事とともに適度なワインまたは水を摂取
  • 豆類、野菜、果物、雑穀物等の植物性食品が中心で、それらをたっぷり摂取
  • 魚をたっぷり、お肉は少量摂取
  • 少量の乳製品
  • デザートは最小限
Mediterranean Diet Pyramid

ここでキーワードとなるのは不飽和脂肪酸が豊富に摂取できる食事内容であることです。飽和脂肪酸やショートニングやマーガリンなどのトランス脂肪酸の過剰摂取は血中のLDLコレステロールが高値の原因となります。不飽和脂肪酸は魚や大豆に含まれる成分ですが特にオリーブオイルに多く含まれていると言われており、血液中のLDLコレステロール(悪玉)を低下させる役割があります。LDLコレステロールが高いと動脈硬化を生み、その結果高血圧、心疾患、脳梗塞リスクを引き起こすことに繋がります。

認知症予防にも結びつきがある

不飽和脂肪酸は認知症予防に効果があるという研究結果もあります。アメリカ、テンプル大学の医学部の研究によると将来アルツハイマーを発症するように設計されたマウスに6カ月間通常の食事を与えるグループとエクストラバージンオイルを与えるグループに分け研究を実施。後者のグループのマウスは脳内の異常なアミロイド(認知症の原因となるタンパク質)が約60%少なく、また作業記憶テストと迷路学習活動においては約40%優れているという結果を残しています。

また、認知症予防効果があると言われている成分がもう1つあります。それはノビレチンです。ノビレチンは柑橘類に含まれている成分で抗酸化作用、抗炎症作用もあると言われています。柑橘類の中で最も含有量が多いとされるものは日本でもお馴染みのシークワーサーと言われています。

認知症予防

現在の医療では認知症進行速度を緩やかにする等の対症療法が中心であり、治療薬はないというのが現実です。認知症予防として不飽和脂肪酸やノビレチン等が含有されたサプリメントが開発され、のちに治療薬が誕生することを望むばかりです。