動物と触れ合う事で、心が落ち着き、自然と笑顔になりストレスが軽くなる…このような経験をされた方も多いと思います。
海外では馬を使ったホースセラピーに保険適応が認められている国もあります。
今日は、アニマルセラピーについてのお話しです。
高齢者は身体的な障害や機能低下なども相まって、日常生活への不安や不満によるストレスを蓄積しがちです。
また、記憶力の薄れもあり、親しいはずの人間が誰だか分からなくなる、同じ会話を繰り返すなどが続くと自信を無くしてしまい、家族以外の社会との接点が失われてしまいがちです。
コミュニケーションの機会が減少すると、さらに他人との交流に対して消極的になります。
老人ホームのような養護施設に長期間入所している方にも、これらの傾向が見られるため、アニマルセラピーが有効であるとされています。
それは、なぜでしょうか?
認知症予防では、3つの行動がキーポイントとして研究されています。
①記憶すること②運動すること③会話すること
アニマルセラピーでは、この3つを網羅することができると言うのです。一つずつ見て行きましょう。
アニマルセラピーは、これらの行動を増やすきっかけになるので、高齢者の感情に変化を起こさせ脳への刺激にもなり認知症予防に効果的だといえます。ストレスの緩和や、活動性や社会性が向上することで、日常生活の自立度や生活の質の改善につながることも期待できます。
さらにこの3つのほかにも、責任感が生まれるそうです。「ペットの食事の世話をきちんとしないと!」と責任感が出てくれば、生活リズムにメリハリが生まれる。高齢になると、生活リズムがとかく単調になったりルーズになったりします。とくに独り住まいだと、食事も起床や就寝時間などもズルズルになることもありますが、ペットにご飯をあげたり水を換えたりと、決まった時間にすべきことがあれば、自然に生活リズムが整ってくるという訳ですね。
2002年から岡山県で活動する介護高齢者ドッグセラピー普及協会によると、介護施設に入所されている認知症高齢者に個別ドッグセラピーを行った結果、上記のような症状改善が見られたといいます。同協会のドッグセラピーでは、100件近くの症例で認知症の症状緩和が見られていると発表されているそうです。
高齢になると、介護されることが多くなり、気分が落ち込むこともあると思いますが、犬と関わることで、逆に動物の世話をする立場に変わり、自信が持てるようになるんでしょうね。ドッグセラピーの導入で高齢者の通院回数が減り、結果、年間1,350億円を超える医療費削減につながるとの推計もでているようですし、ペットセラピーには、無限の可能性を感じます。
海外では、認知症の予防だけだなく不登校児童へのケアなどでも行われているアニマルセラピーですが、日本では実施している団体そのものが少ないのが現状です。
アニマルセラピーは、認知症予防や認知症の症状の軽減させるだけではありません。介護する家族や関係する人たちの負担を減らすことにつながります。今後、日本でのアニマルセラピーの広がりを期待したいと思います。