認知症検査・診断の真実

認知症検査・診断の真実

日本の医療保険制度(皆保険制度)の弊害とは

認知症も最近では早期発見・早期治療が重要となっています。しかし、私達や私達の親が認知症の疑いを持った時、日本ではどの診療科目を受診すればよいか皆さんは分かりますか?

インターネットで調べると、最近は物忘れ外来、認知症外来、あるいは老人科、高齢者専門と言う専門外来が設置されている医療機関も増えてきました。しかし、そこへ行けば良いという訳ではないようです。重要なのは、これらの医療機関で本当に早期発見・早期治療が可能かどうかという事です。

一旦、先進国であるアメリカを見てみましょう。

アメリカでは、メモリークリニックという認知障害クリニックが確立していて、そこでは極めて医学的、科学的、合理的な診断をしています。実際の初診のメニューをみてみると、以下の項目をを全て実施し、総合的な診断で早期診断と早期治療を行っています。

認知症の診療科目はどこ?

検査内容

スクリーニングのための知能テスト

スクリーニングのための
知能テスト

検体検査

検体検査

画像診断

画像診断

画像診断

MRI

CT

CT

PET

PET

それぞれに長所、短所がありますが、アルツハイマー型認知症などの認知症の早期発見では、PET検査がとても重要との事です。しかし日本では、認知症検査でPETを使っている医療機関が極めて少ないという現実があります。PET検査では、早期胃がんを除く悪性腫瘍、てんかん、虚血性心疾患といった疾患には健康保険が適用されますが、脳PET検査には適用されないという実情があります。

これは、日本の医療保険制度が「病気ありき」の制度である弊害です。つまり、病気の予防や初期状態での対策に保険が適応されないことが多くあります。

認知症を早期発見するためにPETで診断をしようとすると保険適用ができなく自由診療となります。その為、医師も医療機関も積極的に脳PETを進めることはありません。さらに、日本の医療では、軽度認知機能障害のMCIで外来した患者さんに問診程度の診察で経過観察し、最終症状が出てからアルツハイマー型認知症と診断します。この段階では、認知症薬の処方や投与がはじまり、介護施設へ行くような流れになります。

本来、軽度認知機能障害(MCI)で早期診断・早期治療を行っていれば、このような状況を回避できる事が多いとの事です。

PET装置

最も有効な方法は画像診断

「基本中の基本は、PET検査とMRI検査を組み合わせること!」

認知症の検査でもっとも有効なのは画像診断で、唯一客観的に脳のコンディションをみることができる方法との事です。精神状態を分析すると、認知症と精神病は症状が重なり合う場合が非常に多いため、認知症なのに精神病と誤診されたり、逆の場合もしかりです。そのため、脳のどこの機能が壊れているかをまず見つけるためには、PET検査とMRI検査を組み合わせてみることがとても重要です。

心配な方は、まずは画像診断を受ける事をお勧めします。

画像診断を受ける病院を選定するポイントは、

  • 画像診断を積極的に取り入れている医師か?
  • 検査のための診断機器がある施設か?

長谷川式認知症スケールMRI検査FDG-PET検査ができるかを確認してみてください。

画像診断

長谷川式認知症スケール

認知症検査で広く用いられているもので、

  • 自己の見当識(年齢を問う)
  • 時間に関する見当識(月、日、曜日、年)
  • 場所に関する見当識(ここはどこか)
  • 作業記録(3単語の直後再生、数字の逆唱)
  • 計算
  • 近時記(3単語の遅延再生)
  • 非言語性記銘(5品目の視覚的保持・再生)
  • 前頭葉機能

等を検査します。
総合点の結果のほかに、どのような認知機能が低下しているかも把握できるようになっています。 30点満点で、20点以下だった場合に認知症の疑いが高いと言われますが、診断結果はあくまでも参考です。
このテストの点数が良くなかったからといって「認知症」と診断されるものではありませんが、
病院に行って検査をする目安にはなるのでは無いでしょうか。

長谷川式認知症スケール問診票

MRI検査

大脳の萎縮や血管障害、梗塞などの有無を診ますが、これは65歳以上のアルツハイマー型認知症に有効で、進行期では大脳の萎縮がみられるようになり、特に記憶に深く関係している海馬と呼ばれる部位は、ほかの部位と比較して早い時期から萎縮が目立つようになるそうです。ただし、MRI検査では、MCIや初期の認知症は発見できないのでPET検査の実施が重要です。

FDG-PET検査

糖代謝を診るもので、FDG(フルオロデオキシグルコース)というブドウ糖に似た薬剤に、フッ素18という放射性同位元素を標識にしたものを検査薬として使います。この薬剤の集まりが低下しているところが、糖代謝が低下しているところです。脳は、糖をエネルギー源としていますから、脳の糖代謝が落ちているということは、脳神経細胞が死んでいるか、機能が低下している状態ということになり、認知症の芽があると診断できるそうです。また、レビー小体型認知症が疑われるときは、FDG-PET検査とあわせてFMT-PET検査を行います。このFMT-PET検査は、パーキンソン病および類似疾患における早期診断や進行度の評価ができる脳画像検査になります。

コメント

がん検診のときに、脳PET検査も一緒に受けるのが良いと先生がおっしゃっていました。MCIが認められるのは、50歳以降で、少なくともその年齢になったら、定期的に脳PET検査を受けるのが良いとの事です。

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