私自身、母の認知症という現状に直面するまで考えた事はありませんでしたが、日本の皆保険制度(健康保険)は海外から見ても非常に優れている制度です。しかし一方で、弊害もある事に気づかされました。
私たちが病院へ行くと治療費や薬代が3割負担で済むのは健康保険適応の保険診療だからです。認知症薬の真実でも記載した厚生労働省が認可している薬は、認可薬ですので健康保険が適応されます。
しかし、アメリカのFDA(日本の厚生労働省に当たる機関)で認可されていて効果がある薬でも、日本では認可薬では無いため保険適応されません。これが自由診療と言われている部分で、全額個人負担になります。
ドラッグラグ、デバイスラグという言葉もあり、海外で効果があるとされる治療薬でも日本で認可されるのに何十年も掛かる事や認可すらされないこともあります。また、一部保険診療、一部自由診療という混合診療も認められていないため、効果があるとされていても、未認可の場合は個人の負担が非常に大きくなることがあります。また、日本の医療は、皆保険制度の元に成り立っていますので、病院やクリニックの多くは保険適応の認可薬を使用することが中心となり、仮に未認可薬や未認可の治療があったとしても、患者に対して提案することはほぼないという事です。